ヘアカラーは、どんなに髪が真っ黒でも金髪にすることもできますし、逆にすべて白髪であっても真っ黒に染めることもできます。
特別なテクニックも必要なく、髪を自分の思い通りの色に自由自在に変えられるのは嬉しいことですが、なぜ簡単に染められるのか疑問に思う方もいるでしょう。
簡単に言うと、ヘアカラーで髪が染まるのは髪を脱色してから発色させていることによるためです。
ヘアマニキュアタイプの白髪染めでは髪の表面に色を付けているだけなので自分の髪色よりも明るい色にすることは難しいのですが、ヘアカラーでは髪を一度脱色してから色を入れるため、思い通りの色に変えることができます。
まずはヘアカラーで髪が染まる仕組みを見ていきましょう。
ヘアカラーの1剤と2剤を混ぜ合わせ、乾いた髪に塗る
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1剤に含まれるアルカリ剤で髪のキューティクルを開く
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開いたキューティクルから染料が髪内部に浸透する
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2剤に含まれる過酸化水素水とアルカリ剤が反応し、髪を脱色する
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酸化染料と過酸化水素水が反応し、髪内部で発色する
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キューティクルの内部に色が留まりしっかり定着する
市販のものでも美容室で使われるものでも、基本的にヘアカラーは1剤と2剤という2種類の薬剤が使われていて、これらを混ぜ合わせることによって混合液が出来上がります。
1剤にはパラフェニレンジジアミンやトルエンジアミンなど髪の色を染める主成分となるジアミン系の酸化染料とアンモニアやモノエタノールアミンなどのアルカリ剤が入っています。
アルカリ剤は、過酸化水素水を分解して酵素を発生させます。
この酵素によって1剤の酸化染料が発色するのですが、これだけでは髪の内部に浸透させることはできませんが、アルカリ剤にはもう一つ働きがあり、髪を覆って保護しているキューティクルを開き、混合液を内部に浸透させるという役割を持っています。
キューティクルが開いて染料が髪の内部に取り込まれれば、内側から発色するので髪がしっかりと染まるのです。
また、1剤と2剤の染料の分子は、結合して元より大きくなるという性質があるため、キューティクルのすき間から出られなくなり、髪の内部にしっかりと留まり色が定着します。
ヘアカラーをした後にシャンプーをしても髪の色が落ちずに残っているのはそのためです。
このように、ヘアカラーはアルカリ剤の働きと染料の分子が持つ性質を活かして作られているので、暗い色合いでも明るい色合いでも思い通りのカラーに、しかも簡単に染めることができるのです。
1度でしっかり染まり、色持ちも良いことから愛用者が多いヘアカラータイプの白髪染め。
しかし、肌や頭皮に薬剤を付けないように細心の注意が必要であったり、鼻を突くような刺激臭があることからもわかるように、使い続けることによって髪の乾燥がすすみ、切れ毛や抜け毛、薄毛など髪や頭皮にとって悪影響を及ぼす可能性があります。
また、配合されている化学成分によるかゆみや腫れなどといったアレルギー発症のリスクが伴うため、使用の際にはパッチテストが毎回必要でもあります。
ヘアカラーを使い、毎回頭皮に痒みや腫れを感じながらも、しばらくすると症状が治まるからと、同じヘアカラーを使い続けている方もいますが、これは非常に危険です。使い続けていると、よりひどいアレルギー反応を引き起こしてしまい、ある日突然、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状を招いしまう可能性もあります。
痒みや腫れは、体から発せられているメッセージです。このような症状が出たときにはすぐに使用を中止しましょう。
簡単に思い通りの色に染められることから人気のヘアカラーですが、使用する際にはそういったリスクもあるということを認識しておくことが重要です。