白髪染めだけでなく、ファッションとしてヘアカラーを使って髪のカラーリングをする方も多いでしょう。
ヘアカラーは、手軽に白髪を隠したり髪色を思い通りのカラーに変えることができる便利なものです。ドラッグストアなどに行けば、いつでも安価に入手することができるのも魅力です。
しかし、ヘアカラーが頭皮トラブルの要因にもなってしまうことを理解したうえで使用している方はどれくらいいるでしょうか。
ヘアカラーは一般的に、1剤と2剤を混ぜ合わせ化学反応させて髪に着色させる仕組みです。
1剤に含まれるアルカリ剤が髪のキューティクルを開き、2剤の過酸化水素水と反応して酸素を発生しメラニン色素を分解(=髪を脱色)します。キューティクルの隙間から浸透した1剤の酸化染料が酸素と結合して発色することで髪が染まります。
このように、髪を脱色して染料を髪内部に閉じ込めるため、一度でしっかり染まり、シャンプーをしても色落ちしにくいのが特徴です。
ただし、1剤で使われる「酸化染料」「アルカリ剤」、2剤で使われる「過酸化水素水」のいずれも頭皮トラブルの原因になりえる成分なのです。
酸化染料の主な成分は、パラフェニレンジアミンなどのいわゆるジアミン系成分です。
少量の色素で濃い色を出せたり、複数のジアミンを混ぜ合わせることでいろいろな色味を手軽に作ることができます。そのため、ドラッグストアなどでリーズナブルな価格で販売されているヘアカラーには、ほぼジアミンが使われています。
ですが、このジアミンは刺激性の成分で、またアレルギー反応を引き起こす薬剤として知られており、欧米などではヘアカラーへの使用が禁止されているほど強いアレルギー作用を持っているのです。
日本国内でも、ヘアカラーによる皮膚障害の報告が多数されています。
消費者庁・消費者安全調査委員会の「毛染めによる皮膚障害」の報告によると、ジアミンアレルギーの代表的な症状は、かゆみ、赤み、かぶれ、ヒリヒリとした痛み、蕁麻疹、腫れなどの皮膚障害です。
下の写真は報告の中で紹介されているアレルギー症状の事例です。
’’40歳代から自宅で毛染めを行ってきた。2年ほど前から毛染めをすると痛みやかゆみを感じたが、市販の薬を塗れば症状は治まるので、これ以上ひどくなるとは思わずに毛染めを続けてきた。今回毛染めをしたら、顔面が赤く腫れ、浸出液が滴る状態になり、初めて医療機関を受診した。これまで、製品の外箱や使用説明書に注意事項が詳しく記載されていることには気付かなかった。’’
アレルギーリスクを少しでも下げるためには、ヘアカラーを使う前に必ずパッチテストを実施することが大切です。毎回実施するのは面倒に感じられるかもしれませんが、パッチテストを実施することでリスクの回避率は大きく変わってきます。
いつも同じヘアカラーを使ってきて今まで一度も問題がなかった方でも、ある日突然アレルギー症状が出ることもありますので、パッチテストは忘れず実施しましょう。テストでかゆみや赤みなど少しでも違和感を感じたらすぐに使用を中止してください。
アルカリ剤には、キューティクルを開いて、髪の内部にヘアカラー剤が浸透しやすい状態を作る役割があります。
髪の毛は層構造になっていますが、髪の表面を覆うように存在するキューティクルは、外部からの刺激や髪内部から栄養が水分が流れ出ないように、言わばバリアのような働きをしています。
アルカリ剤は、この髪のバリアを無理やり開いていることになり、当然髪のダメージ要因になります。
髪だけでなく、アルカリ剤が頭皮に残ってしまうと、頭皮にも悪影響が出てしまう可能性があります。
頭皮は髪や皮膚と同じく弱酸性の状態で安定していますが、アルカリ剤に触れることでバランスが崩れ、それが刺激になってしまうことがあります。
また、頭皮の皮脂と混ざり合い酸化してしまったり炎症の原因になることもあります。
過酸化水素水は、ヘアカラーには必ずと言っていいほど使われていますが、ヘアカラー以外にも漂白剤や消毒液などにも使われている成分です。
使われている製品からも分かるように、過酸化水素水には強い脱色効果や殺菌効果があるのです。
過酸化水素水が髪に残ってしまうと、少しずつ髪を脱色してしまうことになります。
髪だけでなく、頭皮に過酸化水素水が残ってしまうと、皮脂と混ざり合い過酸化脂質になり、加齢臭などの臭い匂いだけでなく、頭皮を老化させてしまう原因にもなってしまいます。
また、過酸化水素水はヘアカラーに欠かせない成分ですが、アメリカの専門誌「FASEBジャーナル」や東京医科歯科大学の研究チームの報告によれば、「過酸化水素が白髪の原因になっている」という驚きの発表もされています。
ヘアカラーで短期的に白髪を染めることができても、そのヘアカラーが白髪の原因になってしまっていれば本末転倒です。
ヘアカラーは、染まりが良い反面、使われている成分から、どうしても髪や頭皮へのダメージが避けられません。また使い続けることでアレルギーの発症リスクを高めることにもなってしまいます。
髪の色を明るくカラーリングしたい場合にはヘアカラーしか選択肢がありませんが、もし白髪染めのためにヘアカラーを使っているのであれば、これらのリスクの高い成分の配合されていない白髪染めを選択することができます。
半永久染毛料であるヘアマニキュアやヘアカラートリートメントであれば、髪のキューティクルを開くことなく、髪の表面にカラーをのせて染めることができます。ヘアカラーに使われているようなリスクの高い成分も含まれていないので安心です。
髪や頭皮に刺激を与えずに染められ、薄毛や抜け毛など髪の悩みを持った男性にもオススメです。