白髪染めと言うと2剤を混ぜ合わせて使うヘアカラータイプを思い浮かべる方も多いと思います。
特に男性はそういう方が多いのではないでしょうか。ドラッグストアの白髪染めコーナーを見ても、男性向けの多くはヘアカラータイプの白髪染めです。
実は白髪染めには、ヘアカラーだけでなく、それ以外にもヘアマニキュアやヘアカラートリートメント、ヘナカラーなど色々な種類があります。
染め方にもいくつか方法があり、クリームで染めるもの、泡で染めるもの、シャンプーで染めるもの、などバリエーションがありますが、その中でも少し変わったものが「光で染める」白髪染めです。
「光で染める」というとイメージが難しいかもしれませんが、太陽光や蛍光灯など光を浴びることで反応して髪が染まるという仕組みをもった新しいジャンルの白髪染めです。
一般的な白髪染めには染料が配合されており、ヘアカラーなら髪の内部に、ヘアマニキュアやヘアカラートリートメントであれば髪の表面に着色することで髪を染めますが、光で染めるタイプの白髪染めには主に「硫酸銀」が配合されています。
硫酸銀は光に当たって分解(光還元反応)すると、銀イオンが金属銀微粒子に変化し、髪の表面に吸着します。髪に吸着した金属銀微粒子が光を吸収すると黒く変化し、髪を黒く発色することができます。
仕組みはフィルムカメラと同じです。昔のフィルムカメラをご存知の方であれば、フィルムを見ると光の当たった部分が黒くなっていることを覚えているのではないでしょうか。
このように硫酸銀の光還元を利用した白髪染めはこれまでになかったタイプです。光で反応するため白髪が気になる場所に塗って光に当てるだけです。シャワーなどで洗い流すことがないのも特徴です。
光で染める白髪染めは、まだまだ新しいジャンルで、色々とメリットがある反面、注意しておきたいデメリットもあります。
光で染める白髪染めのメリットは、合成の染料やアレルギーの原因となるジアミン系の酸化剤を使っていないので、髪にも頭皮にも優しいということです。
白髪が生えるのは、大なり小なり頭皮がダメージを受けているので、普通の白髪染めだとさらに頭皮環境を悪化させてしまいますが、光で染める白髪染めなら安心して使えます。
また、ヘアカラーのようにキューティクルを開くこともなく、髪の内部に染料を浸透するのではなく表面に吸着して変色するので髪を傷めることもありません。
洗い流しが不要なので手軽に使えるというところも大きなメリットです。
使い方も簡単で、専用のクシに適量をとって生え際から毛先に向かって馴染ませるだけです。朝の忙しい時間でも気になる白髪にさっと塗ることができます。
後はその日1日普通に過ごせば、光の効果で髪が染まるので色合いを確認し、もっと濃くしたい時には次の日もう一度塗るだけで好みの色に染めることができます。
他の白髪染めに比べて色持ちが良い点もメリットとしてあげることができます。同じく髪の表面に着色するタイプにはヘアマニキュアやヘアカラートリートメントがありますが、色持ちは短いもので数日程度、長くても10日程度です。
光で染める白髪染めの場合は、髪質にもよりますが20日程度色持ちするものが多く、月に2回程度の染め直しで済むので手間もかかりません。
光で染める白髪染めのデメリットとしては、生え際や髪の根元が染めにくいというのがあります。
乾いた髪のままに塗るため、ムラなく伸ばすのも難しく、塗った後も光が入りにくく、どうしても染めムラが出やすくなってしまいます。
また、仕組み上コストがかかるのか、内容量が少ないにもかかわらず、比較的高額なのも大きなデメリットです。生え際や髪の根元まできれいに染めようとするとかなりの量を使うことになり、すぐに消費してしまいます。
全体にしっかり塗ってしまうと、乾いたあと髪全体がパリパリに固まってしまうこともあります。
仕様的に全体染めには使いにくい面があり、白髪の少ない方など、少量の白髪がちょっと気になるときに部分染めとして使うのが向いている印象です。
また、一番注意したいデメリットが髪が緑に発色してしまうことです。
金属銀微粒子は、酸化染料の原料であるジアミン系成分と反応すると緑色になる性質があります。
そのため光で染める白髪染めを使った後に、髪に金属銀微粒子が残っている状態でヘアカラーやパーマをしてしまうと、髪が緑色に変色してしまうことがあります。
変色してしまうと美容院等でブリーチやカラーをしても直りません。美容院によっては注意書きをして施術前に注意を喚起しているところもあります。
ヘアカラーを併用したり、パーマを当てる方などは十分な注意が必要です。
逆に言えば、他のヘアカラーを使わずに光で染まる白髪染めだけを使い、パーマも当てないような方であれば問題なく使うことができます。